アウトドア用品市場の将来展望とおススメ中国メーカー8選!
近年、大きく需要が拡大している分野にアウトドア用品市場があります。
アウトドアとは屋外で行う活動を総じていい、海山に出かけてキャンプや釣り、バーベキューなどを楽しむことをメインにいいます。
今回の記事では、アウトドア用品市場の現状及び将来を分析したうえで、業界における中国輸入の可能性を見ていきます。
目次
アウトドア市場の動き
アウトドア市場はこの10年ほどの間に大きな成長を見せています。
それを支えるのはキャンプなどアウトドア活動に参加する人口の増加です。
公益社団法人日本キャンプ協会が発刊した「オートキャンプ白書2022」によると、1年に1回以上キャンプをした人の数は、2010年の720万人から2019年の860万人へとおよそ1.2倍の伸びを示しています。
これが新型コロナ蔓延の影響で2020年には610万人へと3割程度減少してしまいましたが、その背景には下記のような事情がありました。
- テント間の距離を従来より広く取ることによるテントサイトの減少
- キャンプ場来場者の地域限定
- 臨時休業を行ったキャンプ場の増加
しかし、コロナ禍で市場規模が半減あるいは半減以上縮小した業界が多い中で、アウトドア市場のキャンプ参加者の減少は限定的だったと言えるでしょう。
その証拠に2021年にはオートキャンプ参加人口が750万人(前年比:23%増)と、大きな回復を見せています。
近年、オートキャンプ参加人口が伸びている背景には、デジタル化が進む社会に対する反動があるようです。
コロナ禍においてはリモートが進むことによりオンラインでの会議や授業など、デジタル化が一気に進みました。
その状況が人が本来持っている自然回帰への本能を刺激し、2021年にオートキャンプ人口が大きく回復したことにもつながっているのでしょう。
また、オートキャンプ人口は2020年に一旦減少しましたが、アウトドア用品市場はコロナ禍でも衰えずに増加傾向にあります。
アウトドア専門ブランドの大手スノーピークの直近12年間の売上高推移をみると、下図の通り2013年頃から毎年順調な伸び方をしています。そして、2021年のコロナ禍において約1.5倍もの驚異的な拡大が見せたのです。
アウトドアグッズを専門に扱うスノーピーク社の数字を見ることにより、アウトドア用品市場の規模が大きく伸びていることが推測されます。
このような現象には、キャンプに行く回数の増加や「ソロキャンプ」「おうちキャンプ」など、新しい形のアウトドアライフを楽しむ人達が増えたことが背景にある考えられます。
(出典:オートキャンプ白書2022)
異業種からのアウトドア市場への参入
アウトドア業界の成長を見た作業服専門店、家電量販店、ホームセンター、スポーツ用品店など他業界からの参入も増え、業界規模の拡大を後押ししています。
作業服専門店ワークマン
作業服専門店で有名なワークマンは、高価格で高機能商品が多いアウトドア市場に「高機能×低価格のサプライズをすべての人へ」というコンセプト商品「ワークマンプラス」で参入に成功しました。
またアウトドア市場の周辺において「ワークマン女子」というブランドを立ち上げ、「カコクな365日(にちじょう)を、ステキに変える」をコンセプトに、屋外で働く女子をサポートする商品で注目を集めています。
家電量販店ビックカメラ
ビックカメラでは、アウトドア専門店「ビックアウトドア」を立ち上げ、アウトドアグッズと共にアウトドア家電も販売して事業を拡大しています。
アウトドアを愛する人の生活を豊かにするため、「エコロジー×テクノロジー」をテーマに、アウトドア用品だけでなく、アウトドアで活躍する家電商品や日用品も幅広く揃えています。
ビックカメラらしい広大な売り場面積を生かしたテントとキャンプ用品、家電商品の展示や、家の室内をイメージしたインドア展示場にさりげなくアウトドア用品を置くなど、インドアとアウトドアの融合を図っているのが大きな特徴です。
ホームセンター・コーナン
コーナンは関西と四国において、「CAMP DEPOT(キャンプデポ)」というアウトドア専門店で参入しています。
CAMP DEPOTの最大の特徴は、ネット通販専門会社のeSPORTSが展開するアウトドアブランド「QUICKCAMP」を店頭で初めて取り扱っているところです。
QUICKCAMPは、殆どの商品が1万円以下で買えるという驚きの価格がウリで、特にキャンプ初心者に人気です。中でも15秒で設営が完了する「ワンタッチテント」が注目を集めています。
スキー・ゴルフ用品のアルペン
2022年7月に創業50年を迎えたアルペンは、スキー・ゴルフ用品からアウトドア用品の販売へとシフトをしています。
アウトドア専門の「アルペンアウトドア―ズ」と登山専門の「アルペンマウンテンズ」の2Way展開でスタートし、両者を兼ね備えた「アルペンアウトドアーズフラッグシップストア」もオープンさせています。
アルペンは店舗面積の大きさを生かした世界最大級のアウトドア専門店を運営しており、店舗内ではテント設営や寝袋体験などが人気です。
アウトドア市場における中国製輸入商品の拡大
海外からのアウトドア用品の輸入は、下図の通りテントにおいて伸びており、オートキャンプ人口が減少した2020年においても過去最高を更新しています。
アウトドア用品で最も需要が大きいテントの輸入品販売の伸びから、他のアイテムの輸入販売が増加していることが推測されます。
そして、大阪税関の資料によると、この輸入テントの数量ベースで約8割、金額ベースで約7割を占めるのが、下図の通り中国製テントなのです。
(出典:大阪税関「テントの輸入」)
輸入テントの増加は2016年頃から始まっており、日本で中国輸入ビジネスが盛んになった頃とほぼ一致しています。
アマゾンや楽天市場などのECサイトで、あまり聞いたことのないブランドのアウトドア用品をよく見かけるようになったのもこの頃からでしょう。
中国製商品というと品質がどうだろうと思う人が多く、実際、最初のころは安い商品には期待できないことが少なくなかったようです。
しかし、中国は決して高品質なものを技術的に作れないわけではなく、高品質なものに必要性を感じていなだけだと言われています。
最近では品質にこだわる日本人との国民性の違いを認識し、商品化に生かして売上を伸ばす中国ブランドが増えています。
それにより低価格で品質の良い商品が増え、かつての「安かろう悪かろう」といった商品はあまり見かけなくなったようです。
中国におけるアウトドア用品需要の拡大
中国国内においても日本と同じような時期にアウトドアブームが始まり、2020年のコロナ禍においてもアウトドア用品の売上は前年同比6.43%増の約3兆3719億円に達しています。
その背景には、コロナ禍での厳しい外出制限の中で、非日常を体験できるアウトドアへの関心が高まったことにあるようです。
その後も中国政府が「中国は国土が広大で、地形が多様であるため、アウトドアの発展には恵まれた優位性があり、それをうまく発揮すべきだ」という中国の報道機関を管轄する「新聞弁公室」の発表が、アウトドア市場の成長を後押ししたのです。
中国のアウトドア用品主要ブランドも、そういった時代の波に乗り国内外で販売を拡大して行ったのです。中国輸入におけるアウトドア用品の拡大には、こういった背景があったのです。
中国アウトドアブランドのおススメ8選
こちらでは、近年、日本市場へ進出した中国アウトドアブランドの中から、注目すべき代表的なブランド8選を紹介します。
Naturehike(ネイチャーハイク)
2005年に中国の寧波市で設立されたNaturehikeは、高い技術力をベースに、テントからスリーピングバッグ、アウトドアファニチャーまで、幅広いアウトドア用品の製造販売を行っているメーカーです。
「ハイスペックな製品を圧倒的なコストパフォーマンスで」をモットーには「今よりもっと軽量で快適なアウトドアを楽しんでほしい」という願いが込められています。
そのクオリティの高さから多くのアウトドアファンの注目を集め、世界中から高い評価を受けている信頼できるブランドです。
日本においては2020年より伊藤忠商事が独占販売権を獲得し、Naturehike Japanによってよりきめの細かなアフターサービスと日本人の感覚にマッチした商品を展開しています。
日本に正規代理店があることにより、アフターサービスを受けることが可能であり、粗悪なものや法規制に引っかかるような商品は販売しないので安心です。
日本独自モデルもあり、非常に良心的な値段で販売している中国を代表するアウトドアブランドです。
MOBI GARDEN(モビガーデン)
MOBI GARDENは2003年に創業のアウトドア総合ブランドです。
中国ではテントでトップシェアを持つと言われ、他にも服、寝袋、バックパックなど取扱い品目は多いようです。
日本ではNaturehikeほどの知名度はまだありませんが、2019年に株式会社帝伸テックが代理店となり、2020年から日本仕様になったテントの販売を展開しています。
アマゾン・楽天市場といったECサイトでは、「オリエンタルアウトドア」という店舗名でMOBI GARDENブランドの商品を販売しています。
MOBI GARDENのテントは自社工場で厳しい検査の元で製造されているため、クオリティの高さは保証付きです。
その品質の高さで世界でも有数のテント工場となり、有名ブランドのテントをOEM・ODM生産しています。
The Free Sprits Tents-自由之魂
(出典:The Free Sprits Tents-自由之魂・公式ホームページ)
The Free Sprits Tents-自由之魂は、2011年に中国のテントデザイナーである王吉剛(ワンジガン)が設立し、自社工場で製造販売を行っているテントブランドです。
自身のデザインテントを自社工場で妥協のない品質で製造することにより人気を得て、現在では有名ブランドのテントをOEM・ODM生産するまで成長しました。
日本においては2020年にMOBI GARDENと同じく、株式会社帝伸テックが代理店となっています。
テントはグレードごとに下記のようなラベルで分類されています。
- ブラックラベル:シンプルでコスパに優れているエントリーモデル
- ブルーラベル:軽量性重視で高品質な生地やポールを採用したライトウェイトモデル
- レッドラベル:冬や厳しい環境を想定し最高級の生地素材を使ったハイエンドモデル
- ホワイトラベル:複数人数向けの大型キャンプモデル
全てのグレードでレベルが高く、中国製テントの中ではトップクラスの品質があります。
妥協のない素材、裁縫、デザインなど製品クオリティが非常に優れているため、価格帯は、NaturehikeやMOBI GARDENに比べると高くなりますが、非常に評価の高いメーカーです。
Fire Maple(ファイアメイプル)
FireMapleは中国のアウトドア用調理器具に特化した20年近い歴史を持つ大手メーカーで、欧州最大のアウトドアショーISPOで金賞を3度も受賞してるトップブランドの会社です。
2010年より海外進出を開始し、現在では輸出比率が全体の2/3と国内販売を上回っており、世界のアウトドアファンの評価を得ていると言えるでしょう。
日本では2019年にMOBI GARDEN/THE FIRE SPILITSと同じく、株式会社帝伸テックが代理店となっています。
日本正規品として調整されたクッカー、バーナー、その周辺器具が販売されおり、MOBI GARDENと同じく、アマゾンと楽天市場において「オリエンタルアウトドア」という店舗で展開されています。
アマゾンなどのECサイトで、FIRE MAPLEのそっくり製品を安く売っているDUGというブランドがあります。
これはFIRE MAPLEが日本の代理店を通じてOEM供給をしている製品だと言われていますが、中には並行輸入品も混じっている可能性があるので注意が必要です。
KAILAS(カイラス)
KAILASは本格登山向け用品が中心のメーカーです。
2003年、クライミングや登山の愛好家であったBaggio Zhongによって設立されました。当時、中国国内にはクライミングの専門ブランドは殆ど存在してなかったようです。
彼は製品設計、素材選定、生産、マーケティングなどあらゆるプロセスに携わり、その手腕を発揮してブランドを育てていきました。
今ではウェア、シューズ、ザック、テントからクライミング、高所登山用品まで幅広いラインナップを製造販売する、中国屈指のクライミング・アウトドアブランドにまで成長しています。
その規模は中国国内において350店舗以上の直営店と約650店舗以上のフランチャイズ店を展開するダントツの知名度をもつ企業です。
「Made to climb(登るためのモノづくり)」をスローガンに、「Ultra light Pioneer(最軽量の先駆者)」というこだわりを持って事業に取り組んでいます。
中国国内での売り上げが9割以上を占めていますが、2019年に日本法人であるカイラス・ジャパンが設立されています。
ECサイトでは楽天市場にショップを持っていますので、今後の日本での活躍が期待できるブランドです。
Widesea outdoor(ワイドシーアウトドア)
Widesea outdoorは商品ラインナップに他社と類似した商品が見られることから、工場をもたずにOEM製品を販売しているブランドのようです。
チタンクッカー、ウッドストーブから、テント、マット系、ダウンシュラフ、バーナーなど多くのジャンルをカバーしています。
商品に独自性はあまり感じられませんが、価格が安く品質も悪くないことが最大の特徴で、ものによってはNaturehikeなどに似た商品がずっと安い価格で手に入れることができます。
TOREAD(トリード)
TOREADは1999年創業の中国の北京を拠点とする総合アウトドア用品ブランドです。
中国名では探路者を意味する名でしられたブランドで、現在中国国内に1,600以上の実店舗を展開していることなどから「中国のモンベル」と呼ばれることもあり、中国最大級の規模を誇ります。
ハイキングからランニングやスキーまで多様なアクティビティに対応するアパレル・シューズを中心に、バックパックやテントなど総合的なラインナップを揃えています。
Keith(キース)
チタン製品が優れている中国メーカーです。
チタン系のマグ、フライパン、ポット、シェラカップ、カトラリーなどの調理器具を販売しています。
加工の難しいチタンですが、実は中国にはチタンの加工技術に優れたメーカー工場が多くあり、有名アウトドアブランドのチタン製品も中国製であることが多いです。
大手メーカーのチタン製品と遜色ないしっかりとした作りで、アマゾンなどのECサイトでリーズナブルな価格で購入することができます。
アウトドア業界の将来展望と中国輸入
見てきましたように日本のアウトドア用品市場はこの約10年の間に成長を続け、コロナ禍においても大きな拡大を見せています。
その理由として前述と重なる部分もありますが下記のような要因が考えられ、今後も続く可能性が強いでしょう。
- 冬キャンプを含めオールシーズンでキャンプを楽しむようになった
- 設備の整った快適なキャンプ場の増加した
- コロナ禍で密を避けて楽しめる数少ないレジャーである
- リモートワークによるデジタル化の進行により人の自然回帰欲求が強まっている
- 「ソロキャンプ」「おうちキャンプ」「野外フィットネス」など新しいアウトドアの楽しみ方が広がっている
- スタイリッシュで手頃な商品の普及が需要を拡大している
- ECサイトで誰もがどこでもアウトドア商品を簡単に購入することができる
- SNSを通じてインフルエンサーのアウトドアを楽しむ投稿により関心が広がっている
- インドアでも利用可能なアウトドア用品が増えている
- 野外フェスティバルや防災への備えとしての需要が増加している(需要の多様化)
このように現代はデジタル化が進む社会において、様々な要因が重なってアウトドアライフへ興味を持ち参加する人口が増えた時代と言えます。
そしてアウトドア用品市場は、新しくアウトドアライフの魅力を知った人達の需要が増えることによって、今後も成長が期待できる分野であることは間違いないでしょう。
それを支えるのが国内ブランドと共に、前項で見た低価格で高品質なアウトドア用品を供給する中国ブランドです。
最近では初心者だけでなく中級者以上の人達の間でも中国輸入製品への関心が高く、特に日本において代理店契約を結んでいる中国ブランドはユーザーの信頼も厚いようです。
まとめ
今回はアウトドア用品市場の動向を中心に、中国ブランドも絡めて解説しました。
アウトドア用品市場は、近年、成長の著しい分野であり、中国輸入ビジネスにおいてもおススメできるジャンルのひとつです。
中国には品質の良いアウトドア用品を提供するブランドがまだ埋もれていたり、今後も増える可能性が十分あります。
日本に代理店があるブランド商品を並行輸入で取扱うことは難しいですが、まだ日本に代理店のない優良ブランドであれば、輸入販売のビジネスにつなげるチャンスがあるでしょう。
また、高品質のアウトブランド用品を製造しているOEM工場と提携して、自社ブランドとして販売することも可能です。
弊社「THE直行便」では、輸入代行を始めOEM商品の開発から販売までのサポートも行っております。
今回の記事でアウトドア用品の中国輸入ビジネスに関心を持って頂けた場合は、いつでも気軽にご相談下さい。