【悪質な購入者をどう防ぐ?】Amazonの返品・返金対応方法を具体的に解説
2022.04.30更新
「Amazonで出品しているけど、返品・返金リクエストがなかなか減らない」
「購入者からの返品リクエストにはどうやって対応したらいい?」
クレームや悪い評価がつかないように細心の注意を払っているつもりでも、突然、購入者から返品リクエストが来ることもあるでしょう。
そこで今回の記事は、Amazonマーケットプレイスに出品している事業者向けに
● 購入しても商品を返品してしまう主な理由
● 返品・返金方法の手続き方法からAmazon規約の条件
● 返送料に関する疑問
● 返品・返金に関するよくある質問
上記について具体的に解説していきますので参考にしてください。
はじめにAmazonの利用者が商品を返品してしまう主な理由について見ていきましょう。
目次
Amazonマーケットプレイスの購入者が商品を返品する理由
Amazonに出品している商品が返品されるのは、手続きも面倒であり、できるだけ避けたいですよね。
Amazonの返品規約はほかのECサイトと比較してもゆるいと言われています。この辺りはAmazonが企業としてお客様を大切にしている姿勢がうかがえますね。
では具体的に、Amazonを利用している購入者が商品を返品する理由は何が考えられるでしょうか。例えば、
● 実際の商品と商品ページに掲載されている写真が違う
● 製品が破損していて使えなかった
● 実際の商品仕様と掲載されている説明が違っていた
上記で挙げたような理由が考えられます。
このほかに、「注文を間違えた」「思っていたイメージと違う」など、購入者の都合で返品リクエストを受け取るケースもあります。返品要求の中には、常識的に考えられないような理由をつけて返品する購入者もいるでしょう。
購入者から返品リクエストが送付された場合、返品理由がAmazonの返品ポリシーに該当するのであれば、原則としてほとんどの商品は返品可能です。
返品理由が購入者都合の場合であっても、FBAサービスを利用していてAmazonから発送した場合は、返品リクエストを受けることになります。
そのため、Amazonに出品する場合は返品・返金対応方法も事前に確認しておくことをおすすめします。
Amazonマーケットプレイスに出品した商品の返品対応
Amazonは「地球上で最もお客様を大切にする企業になること」を企業のスローガンとしています。
つまり、Amazonマーケットプレイスで決められているポリシーやガイドラインは、すべて「顧客第一」の考えが基本となっています。
Amazonの返品対応についても消費者の視点で考えていれば、大きなトラブルになることはありません。
購入者から返品リクエストがあったときの具体的な手続き
Amazonに出品している商品の返品手続きは以下の通りです。この手順をあらかじめ購入者に文章で説明しておくと親切ですね。
STEP1:返品リクエストを承認する
商品の返品処理は、Amazonの返品ポリシーに該当する場合、原則としてすべて自動的に承認されます。ただ、Amazon返品ポリシーに適用しない商品であったり、返品対象外の商品であったりした場合は、自動処理されずに手動での承認処理となります。
STEP2:返品用配送ラベルを購入者に送付
STEP1の返品処理が承認された後、返品用配送ラベルがAmazonから購入者に送られます。返送料は基本的に後払い設定になっていますが、前払い設定に変更することもできます。ただ、前払いにする場合は「送料支払い済み返送用ラベル」を出品者がアップロードしておく必要があります。
注意:返送先住所は最新の情報であることを確認してください。
STEP3:返金処理を実行する
返金処理は、基本的に商品を受け取ってから2営業日以内にしてください。
ただ、返金処理を実行する前は以下の点に注意が必要です。
● 商品到着前に返金処理をしないこと
● 返品された商品の状態をよく確認すること
これらは充分に確認しておきましょう。返品された商品が出荷時の状態と違っていた、使った形跡があるなどの場合は、返金額の一部を差し引くこともできます。なかには届いた商品を返品せずに、違う商品を返品する「すり替え詐欺」
返金処理のあとは基本的にキャンセルできません。仮に間違って返金してしまった場合、購入者からAmazonに申請する方法でしか返金処理をキャンセルできないので注意しましょう。
なお、返金処理を手動でした場合、データ反映までに最長で2時間まではシステムのステータスが保留中になります。この時間は出品者が間違って返金をしてしまった場合に、返金処理をキャンセルできるために設けられている時間です。
返品対応をしなければいけない条件
出品者が商品の返品対応をしなければいけない理由は、AmazonのFBAサービスを利用して発送しているか、自社から発送しているかで条件が変わります。
AmazonのFBAサービスを利用して発送する場合、
● 商品到着後、30日以内に購入者が商品の返送と返品リクエストを完了していること
● 商品が未開封状態であること
● 到着した商品が注文した方品と違っていた
● 商品詳細ページに「返品・交換不可」の記載がないこと
● 配送中に損傷し、目立った傷などがある
● お届け予定日までに到着しなかった
● 梱包状態に不備があった
● 付属品などが入っていなかった
● 実際の商品がAmazonに掲載されている説明と違った
などの理由が挙げられます。Amazonは基本的に利用者の利便性を第一に考える企業なので、少しの不備だとしても商品返品の理由になると考えておきましょう。これらの返品理由は自社発送品だったとしても当てはまりますので、返品・交換条件はあらかじめ決めておいた方がいいですね。
とはいえ、すべての商品を無条件に返品できるわけではありません。Amazonの規約でも返品・交換不可の条件を決めています(あまりに膨大なため、この記事では割愛します)。
また、商品が開封済みの場合は、返金額を減額することで返品を受け付けるシステムになっています。
返品や交換不可の商品やカテゴリーは、Amazonの「返品・交換の条件」に詳しく記載されているので、常に最新の情報を把握しておきましょう。
出品者が自社から発送する場合は、個別に独自の返品・交換の条件を設定することもできます。ただ、返品・交換不可の条件を前面に出してしまうと、購入者から敬遠される要因にもなりますので、取扱商品の特徴をよく考えて設定しましょう。
返送料は基本的に出品者が負担する
返品リクエストを受けた場合、返送料は購入者、もしくは出品者のどちらが負担するのか気になりますよね。
返送料は原則、出品者が負担します。ただ、例えば
● 注文を間違えた
● もっと低価格の出品者から同じ商品を購入したい
● 買ったけど不要になった
● 仕様が違って使えなかった
● 取り付け費用が高く、不要になった
● サイズが間違っていて使えなかった
上記のような購入者都合の場合は、返金額から返送料を引いたうえで購入者に返金します。また、服&ファッション小物・シューズ&バッグのカテゴリーのマケプレプライム商品は、基本的に出品者が返送料を負担します。
参考:Amazon 服&ファッション小物、シューズ&バッグカテゴリーの購入者返品手数料を免除する無料プロモーション(2023年3月31日まで適用)
返品なし返金とは?
返品なし返金とは、文字通り商品を返品することなく返金処理を行う機能です。例えば、サイズの大きな商品で返送料金が高額になる場合、出品者の判断で返品なし返金で処理できます。また、手作業の手間を減らすために、「特定の基準を満たす商品」もしくは「特定のSKUの商品」は、自動的に返品なし返金扱いで処理するようにルールを設定できます。
Amazonのマーケットプレイス保証とは?
まず、「Amazonマーケットプレイス」とは、Amazon以外の販売者がAmazonを使って商品を出品・販売できるプラットフォームです。
Amazonは基本的に「Amazonマーケットプレイス」を利用して商品を販売している各出品者の取引には関与しない方針です。ただ、この「Amazonマーケットプレイス保証」を利用することで、取引で何かのトラブルがあった際に代金の返金を保証してもらえます。Amazonマーケットプレイス保証を利用するには条件があり、
● 荷物が予定日を過ぎても届かない
● 返品しても返金されない、もしくは交換した商品が届かない
● 商品が破損していた
● 説明と違う商品が届いた
● 返金額が違っていた
● 販売者が返品を拒否している
などの条件を満たすと「Amazonマーケットプレイス保証」を申請できます。出品者は購入者からの申請に対して、30日以内であれば再審議の申し立てができますが、Amazonは購入者の立場を守る方針なので、再審議を通すことは難しいでしょう。
なお、購入者からの返品リクエスト後、48時間以内に返答しなければ自動的にアカウントから申請金額が引き落とされ、アカウント健全性に影響してしまいます。
そのため、FBA発送でも自社発送でもできる限り返品トラブルが起こらないようにすることが大切だと言えます。
Amazonマーケットプレイスに出品した商品の返金対応
ここまでは主に返品対応について見てきましたが、返金についても返品と1セットで考えておきましょう。
基本的に返品リクエストがあった商品が返品されない限り、返金処理をする必要はありません(一部例外あり)。
返品と同じように、返金処理についても「全額返金」や「一部返金」など、Amazonの規約も細かく決められているので、返金処理をする前に熟読しておくことが大切です。
返金手続きの流れ
返金手続きは、まず購入者が商品の返品リクエストを出品者に送ります。出品者は送られてきた返品リクエストを承認し、商品が返品されるのを待ってから返金処理を行います。
ただ、商品の返品が必要ない場合は、購入者がそのまま商品を持ったまま、返金手続きを行います。
購入者に返金対応をしなければいけない具体例
返金はどんなケースでも受けられるわけではありません。返金対応を受けるためには
● 在庫切れで出荷できなかった
● 購入者から返品リクエストがあり商品が返送されている
● 購入者よりキャンセルを受けた
● 商品と説明が不一致
● 出荷が遅れた
など、Amazonが規定する正当な理由に該当していなければいけません。ただ、AmazonのFBAサービスを利用していて、返品理由が梱包材や配送による破損・紛失の場合は、Amazonの責任として出品者に商品代金を返金します。
返金額の計算方法
返金額については、基本的に全額の返金になります。ただ、返送された商品が破損していた、もしくは出荷時の状態と異なる状態だった場合は、購入者に事前連絡をしたうえで返金額を減額することができます。
また、カテゴリーによっては手数料の計算も違いますので、返金対応をする前にAmazonの規約をよく読んでおきましょう。
返金処理に要する日数
購入者の中には「返品したのに、いまだに返金されない」と問い合わせを送るケースもあるかもしれません。
その場合は、出品者が商品を受領してから、2営業日内に返金処理を行うことを相手に連絡し、そのあとにクレジットカード会社から返金される、と事前に伝えておきましょう。
一般的にクレジットカードで代金決済をした注文の返金処理をした場合、クレジットカード会社にもよりますが、6~10営業日ほどで明細書に反映されます。
Amazonマーケットプレイスの返品・返金対応でよくある疑問
ここまでAmazon出品の返品・返金対応について見てきました。その中でよく見られる疑問について紹介していきますので参考にしてください。
なお、ここではAmazon出品者に限ったケースですので、購入者がよく遭遇する疑問などについては、Amazonのヘルプページなどを参照してください。
間違って返金してしまった場合はどうすればいい?
出品者が間違って返金処理をしてしまった場合、返金のステータスが「保留中」であれば返金キャンセルできます。すでに返金処理済みであれば、購入者に連絡し、クレジットカードに再請求してもいいかどうか確認します。購入者が再請求に同意した場合でも、購入者本人からAmazonに依頼しない限り、返金処理されません。
開封された商品は全額返金が必要?
商品の全額返金は、基本的に「未開封商品であること」とAmazonでも規定しています。ただ、Amazonが発送する商品に限り、開封済み商品であっても減額して返金することもあります。
詳しい条件については、Amazonの「返品・交換の条件」を参照してください。
返品できない商品ってどんなのがある?
返品できない商品についてもFBA発送と自社発送で条件が違います。例えば、FBA発送で「特注品」や「開封済みの消耗品」は、返品・交換できません。
自社発送の場合でも基本的にはAmazonの規約にしたがって対応しますが、出品者のストアで特別な返品・返金ルールを決めている場合はそのルールに則って対応することになります。
購入時に使ったギフト券やAmazonポイントはどうなる?
購入者がギフト券やAmazonポイントを利用した商品を返品した場合は、通常通りに返金処理がされ、利用したギフト券やAmazonポイントはそのまま購入者のアカウントに戻されます。
購入者に返金した場合、Amazonに払った手数料も返金される?
購入者に返金処理をした場合、基本的にAmazonに支払った手数料も返金されます。ただ、返金方法(全額返金・一部返金)によっては、返金額の計算方法も違いますので、詳しくはAmazonの「返金に関するよくある質問」を参照してください。
kindleで買った電子書籍の返品・返金はできる?
購入者が誤って注文してしまったkindle本の返品については、注文日を含めて7日以内であれば返金を受けることができます。ただ、返金についてはAmazonの裁量で判断となるので、かならずしも返金処理になるとは限りません。
なお、1ページでも読んでしまった場合は返品不可だと考えておいた方がいいでしょう。
kindle本を読んで返品処理を繰り返すような悪質な購入者の場合は、アカウントの停止や閉鎖のペナルティを課せられる可能性がありますので、極力やめておきましょう。
購入者からの返品リクエストは絶対に対応するべき?
Amazonのポリシーを考えると、返品リクエストに対応した方がいいでしょう。返品対応に応じないこともできますが、その場合はアカウントの評価が著しく下がってしまう可能性があります。
何度も悪質な返品要求を繰り返す購入者にはどうすればいい?
これまで見てきたように、Amazonで出品した商品を返品する場合は基本的に返品リクエストを受け付けなければいけません。
ただ、出品者独自の返品条件を設けることもできるので、悪質な返品要求を繰り返す購入者に対し、自己防衛の意味でも独自ルールを設定しておくのも一つの手段です。
自己防衛という意味では、出荷前に写真を撮っておくことや、仕入れ時の明細を保管しておくなどの工夫も必要です。
Amazonは証拠がないと返金保証をしてくれません。したがって、泣き寝入りしないためにも、どんなに小さな書類でも証拠として使えるなら保管しておいた方がいいでしょう。
どうしても解決できない問題については、Amazon出品者用のヘルプやセラーセントラルのセラーフォーラムで過去の書き込みを確認してみましょう。同じようなトラブルのケースがあるかもしれません。または、Amazonのテクニカルサービスに問い合わせてみてもいいでしょう。
海外からの返品リクエストはどうすればいい?
海外(米国・イタリア・フランス・ドイツ・スペイン・イギリス・メキシコ・カナダ)の購入者に対する返品については、以下の方法で処理できます。
● 商品を返品せずに全額返金する
● 購入者が住んでいる国内の返送先住所に返品する
● 送料支払い済み返送用ラベルを購入者に提供する
といった方法があります。
ただ、所在国からの返送は輸出になるため、日本に輸入するときに関税を支払わなければいけません。商品の金額によっては返品することで逆に赤字になってしまうこともあります。
そのため、海外発送品の返品リクエストは「全額返金」が最も現実的な方法だと言えます。
まとめ:返品・返金トラブルはあせらず手順通りに対応すれば大丈夫
商品の返品はできるだけ避けたいことですが、発送量が増えてくればどうしても返品・返金せざるを得ないことが出てきます。
購入者から返品リクエストが送られてきたら、まずはAmazonの規約に照らし合わせて、どんな理由で返品要求をしているのか確認しましょう。ほとんどの返品リクエストはAmazonの規約に該当し、適切に返品処理ができます。
ただ、なかには自分の都合で返品したいと考える悪質な購入者もいるかもしれません。もし悪質な購入者からの返品リクエストを受け取った場合は、あせらずに正しい方法で対応すれば、ほとんどのケースで問題になることはないでしょう。
また、
● 出品カテゴリーを厳選する
● どんなに小さな証拠でも残しておく
● 商品説明ページを作りこんでおく
など、返品率を下げる工夫なども大切です。
返品リクエストは、一方的な手段による解決ではなく、出品者と購入者の双方がよくコミュニケーションを取りながら解決に導くことが大切です。